自動車・工業製品の組立ライン向けに、自動倉庫+AGVを「製造スケジュール起点」で動かすための軽量WMS/WCSレイヤです。下位装置とはTCPで連携し、上位にはREST APIを公開します。
1. 位置づけと狙い
本ソフトウェアは、既設の自動倉庫やAGVコントローラ(多くはWindows Embedded系・産業PC上のアプリケーション)とTCPソケットで連携し、工場IT側には扱いやすいREST APIを提供する「中間の管理サーバー」です。
従来のフル機能WMSのように在庫・ロット管理をすべて抱え込むのではなく、「生産スケジュールで要求される部品を、ラインに遅れず届ける」ことにフォーカスし、JIT/JISラインの下支えを行います。
- 下位:自動倉庫・AGV・コンベヤなどベンダー混在の設備
- 本製品:TCP制御を吸収し、標準RESTを公開する軽量WCS/WES
- 上位:MES・生産管理・お客様UI(本製品は標準UIは持たずAPI提供)
2. なぜ必要か(背景)
(1)既設設備のプロトコルがバラバラ
国内工場には世代の違うAS/RS・AGVが並存しており、多くがTCPや独自コマンドでの接続にとどまっています。これを一度REST化すると、上位のDjango・Node.js・ローコードのアプリからも扱いやすくなります。
(2)JIT/JISで「時間が支配的」になっている
自動車部品や工業製品の組立ラインでは、正しい部材が“いつ届くか”が最重要であり、在庫の正しさよりも搬送順序・タイミングが重視されます。本製品は「生産スケジュール+使用部品」を直接入力にできるため、この現場事情にマッチします。
(3)UIを持たないことで導入を軽くする
各社の既存の監視パネルやタブレットUIに組み込みやすいよう、あえてサーバー側にUIを持たずAPIファーストで提供します。AIBOD側で標準タブレット画面を提供することも可能です。
3. 想定機能(サマリ)
- マスター管理:製品マスター、使用部品マスター(パーツナンバー、棚位置、容器IDなど)
- スケジュール取り込み:日・シフト単位の製品生産スケジュールを受け取る
- 出庫・搬送指示生成:スケジュールに基づき必要部品を自動倉庫に要求し、AGVへ搬送指示を出す
- 設備状態の集約:各自動倉庫・AGVの稼働状態をTCPで取得し、RESTから参照可能にする
- 進捗表の提供:ライン側/管理側が参照する進捗情報をJSONで返す
4. 対象とする業界・シナリオ
下記のように「ライン近傍に自動倉庫があり、AGVと組み合わせている」ケースを最優先対象にします。
自動車製造業 輸送機器部品 一般産業機械 電装・ワイヤーハーネス※大規模DC向けのフルWMSとは用途を切り分けます。
5. 提供・構成イメージ
- システム構成:工場LAN内のローカルサーバー(LinuxまたはWindows)で稼働
- 販売形式:買い切りライセンス+月額保守
- 画面出力:JSON/RESTで提供。標準の進捗表はタブレットアプリで提供可能
- ファイル出力:初版はなし(要望があればCSVエクスポートを追加)
6. 想定APIエンドポイント(例)
GET /api/v1/masters/products… 製品マスター参照GET /api/v1/masters/parts… 使用部品マスター参照POST /api/v1/schedule… 生産スケジュール投入POST /api/v1/orders/pick… 個別の出庫・搬送指示GET /api/v1/progress… 出庫・搬送の進捗一覧GET /api/v1/devices/status… 自動倉庫・AGVの状態取得
※実導入時は接続する倉庫デバイスごとにアダプタ層を追加し、TCPコマンド⇔内部イベントをマッピングします。
7. ビジネス展開のポイント
- 装置アダプタをAIBOD Factoryでカタログ化し、「この倉庫+このAGVで動作検証済み」と明示することで営業しやすくする。
- “WMSの下で動く製造向けサブシステム”という説明を徹底し、既存WMSとの競合感を避ける。
- 月額保守ではログ・死活の遠隔チェックを提供し、オンプレでも運用を軽くする。